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天才

いつのまにか農福連携も僕の仕事に。


僕は販売担当。無農薬の野菜を障がいを抱えた利用者さんと一緒に、商品化し、産直所に持って行って、一緒に品出しをする。


最近は橿原の「よってって」と「エバーグリーン」に行くことが多いから、その近くの家の利用者さんと一緒に。送迎も兼ねて。


その利用者さんはいわゆる天才で、自尊心が飛び抜けて高い子。大きな声を常に出し歩き回るので、彼が卒業した学校でも知らない子はいないほどの有名人。


彼は帰りの道決まった場所を過ぎると必ず僕にコミュニケーションを求めてくる。


単語で話す彼は思い出したように

ねつ!ねつ!ねつ!と3回言って僕の反応を待つ。


いろんなパターンを試してみたけど


ここ最近は


僕が「ありー」と言うと

彼が「ません」と答え笑う。


その後も

「ばんごはん!」

「ありー」

「ません!」

「今日のきゅうしょく!」

「ありー」

「ません!」

「おおうみがめ!」

「ありー」

「ません!」

「おままごと!」

「にく!」

「シュークリーム!」

。。。と続く。


途中僕は面倒くさくなってくるから「あ」とだけ言う。すると彼が「りません!」と言う。


「か」と言うと「かきくけこ」といい違うゲームが始まったと目を輝かせるが、僕はしまったと少し悔やみながら笑う。彼も笑う。


いつか「あります」「ありません」と場面によって切り替えができるようにとちょっとづつパターンを変えてみたりしている。


順番に1、2、3と数えてみたり、100から99、98と逆算してみたり、、、


しりとりはまだ出来ないけど、何年か後には必ず出来ると確信している。


ある日僕がちょっと凹んでいてどっぷり浸りたい気分だったので、オアシスをかけながらひとり大声で歌っていると、いつものように「ねつ!ねつ!ねつ!」と言ってくる。


その日はそんな気分ではなかったので、かまわず歌っていると「ばんごはん!今日のきゅうしょく!」と大きな声で続けてくる。


それがしばらく続き、それでも構わず歌っていると、声が止まった。少しして聞こえてきたのは手拍子だった。それは、しっかり僕の歌に合わせてしている手拍子だった。


人に合わせるのが苦手な子。周りに合わせるのが苦手な子。音楽療法でもリズムに合わせて手拍子なんてできた事がないのに。


僕は驚き大きな声で笑った。涙が出た。


僕の気持ちを察してくれたのだろう。


後ろを見ると見た事のない優しい笑顔で彼は笑っていた。


彼は、お経を全て暗記していて、腹筋が500回以上できて、何でも遊びに変えれる天才だ。いわゆるアインシュタインの言うところの天才だ。


その価値は普通の人には理解できないかもしれない。今は仕方のないこと。


普通の支援には僕は興味がないからしないし、人間として失礼だと思っている。それは、こども達から教わったこと。前提が逆。


彼ら天才が輝きだす未来がもうすぐくるよ。楽しみでしかない。それを見るまでは死ねないなーと思いながら、今日もリハビリ頑張る。



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